21日に行なわれた山本さんのイベントの報告、それにつながるParasolにおける自身の振り返りと提案、中島視点。
ということで、まずイベントの流れ。
第1部 アートとアクセシビリティに関する握微のアクション
で、山本さんが最近遭遇されたアートイベントへのアクセスに関するさまざまなトラブルの紹介。
・企画者と受付係との間でのコンセンサスが十分でなく、料金の誤徴収が行なわれたこと。
・メールの送信ミスで多数の人間のメールアドレス(個人情報)が流出してしまった事故。
・企画主体の決定が遅く、WEBサイトに料金が明示されなかったこと。
等々、企画をする人間からは少々耳の痛い(やってしまいそう)例が続く。
そして山本さんはそれらの「私もやってしまいそうだから」と目をつむりがちなミスを見逃さない。そうすることで、その根底にある、企画者側の「なあなあ」とあぐらをかいた怠惰、鑑賞者側の「企画者にお任せ」な受け身の姿勢、それらを批評するべき第三者の視点の欠如を暴いていく。それだけだったら、「言っていることは正しいけど、ちょっとやな奴」だ。
そこで第2部、「余所見」は何処を見ているの?では、企画者/鑑賞者の一方的な関係ではなく、中間地点の可能性を探っていく。
山本さん発案のメーリングリスト「今行処」では、ML参加者が「今から〜を見に行きます。」というメールをなげかけ、面白そう!よさそう!(とただ言っているだけ)の段階ではなく実際に(時間とお金を費やして)行くに至るレベルの情報が共有される。
今回ゲストの米子さん主宰のWEBマガジン「余所見」では、実際に誰かが見たり聴いたりしたことについての記事が掲載されていく。そこでは、主催者側の「おもしろいよ」という一方的な告知でもなく、結局主催者側から提供された情報を集めただけのポータルサイトでもなく、実際に行った人の体験談が語られる。特筆ですべきはそれら体験談が匿名の投稿ではなく、個人名を挙げていることだ。それは受け身の鑑賞者ではなく、かつての"目利き"が担っていたような、自己を持ち働きかける鑑賞者。それは白黒はっきり分かれがちな企画者/鑑賞者の間に豊かな色彩のグレーゾーンを作りだす。
そして第3部 最終秘儀「SEN」では、書籍を特定する為の国際共通の番号付けISBNのようにイベントをナンバリングしていく提案。実際に運用するとなると、基準・手順その他もろもろの「どうやって?」の疑問が浮かぶのだけど、でもまず「SEN」が必要ではないかという声がとても大切なことだと思う。そう考える山本さんの視点って、アートに対してどこまでも妥協しておらず、誠実だ。
この誠実さと「言っていることは正しいけど、ちょっとやな奴」のイメージが私の中でいつもひっかかっていた。「いつも」というのは山本さんが遭遇する事故のことがなぜかよく耳に入ってくるからだ。「最近、どこどこのスペースでだれだれと言いあったらしい」という話を聞くたび、山本さんはどういう人なのかが気になっていた。それで一度人づての話ではなく、本人と直接は関わってみたいと思ったのが、このイベントをしてもらうことになったきっかけ。
イベントをすることになって、打ち合わせやメールのやり取りなどを通じて知った山本さんはやはり誠実だった。ヤフオクなら「このたびは迅速・丁寧にお取引いただいて感謝しています」というコメントつきの非常に良い評価をつけるところ。(ヤフオクにたとえて失礼。)
だからこそ、山本さんが事故に遭遇すると事件になることをもどかしくも思う。
以前働いていたある美術系の公立施設で(偶然にもそこで山本さんを初めて知ることになるのだけど)、私は見逃したくないことに下手に"抗議"し、反発と対立が生まれ、何人かの人々を不快にした。"見逃したくない"ことに口を閉ざさなかったは今も悪くなかったと思っているけれど、その口の開き方は後悔している。
まあ、やりかたはそれぞれだ。それぞれなので、ここでさらに自分を振り返る。
イベントの来場者の少なさに、「いい内容の企画なのになんでやねん」と怒り、「まあでもこんなもんだろう」と諦め、「来ない人が悪い」と開き直りそうになる。
けど大切なのは、「なんでだろう?」と疑問を持ち、「いいと思うからもっといろんな人に知って欲しい」と願い、「どうしたら来やすくなるか」と考えることだ。
そうして生まれるアイデアを苛立たしげでなく、かわいらしく提案すること、そしてそれを実践することではないだろうか?
ということで、ひとまずCollective ParasolのWEBサイトをまず検証中。
今、外へ向けているパラソルの窓口はスペースとWEBサイトになっている訳だけど、blogをwebサイト風に使用するのはやっぱりわかりにくいんじゃないだろうか?というのは窓口となるindexページには時系列で情報が上がっていくため、イベントの告知も記録もそのほかさまざまな情報が混ざっていく。WEBサイトはWEBサイトで確実に情報を提供し、ライブなつぶやきをblogに載せていくべきじゃないだろうか?と、ここまでは大多数の人が考えていることだろう。
そして次の段階、実践にうつせるかどうかですね。
きゃー
2010/08/29
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